コラム「人と経営」
働き方改革は進んでいるのか No.3
1.日本の雇用制度が変わる
コロナ禍が収まらない。テレワーク(在宅勤務)やリモートワークが状態化しつつある企業が増えてきた。
テレワークで生産性が向上したという企業と効率が悪くなったと言う声も聞く。
テレワークの定着を目的に、人事制度の見直しを始めている。業務の成果で評価する。テレワークに限定した社員の採用。出社して働いた時間を前提とする日本型雇用が崩れてきた。
人事評価制度も今までの職務遂行能力を中心としたものから職務そのものを評価する職務給に。またはメンバーシップ型雇用からジョブ型雇用へ移行する。
2.ジョブ型とメンバーシップ型
「ジョブ型」とは、「仕事に人が着いてくる」。職務内容を明確にした上で最適な人材を充てる。または、担当してもらう仕事を決定してから社員を採用する仕組みで、欧米型雇用制度。
「メンバーシップ型」とは、「人に仕事が着いてくる」。終身雇用を前提として社員が様々なポストに就く。または、社員として採用してから様々な仕事を割り当てる。日本型雇用制度。
何故、今ジョブ型なのか。政府が推進する同一労働同一賃金や、コロナによる在宅勤務の促進。反対に、メンバーシップ型では、優秀な若年層や高度人材、海外人材の獲得が困難だ。
3.ジョブ型が進む大企業
日立製作所は働き方をテレワーク中心へと刷新する為に、国内で働く16万人を含め世界中の社員30万人をジョブ型の人事制度へ移行すると最近発表した。
日立製作所もジョブ型の対象は当初は管理職だけだが、組合とも話し合いを行い全社員に拡げる構想もある。富士通も管理職だけ既にジョブ型の人事制度を導入している。
大企業では仕事が細分化されジョブ型は馴染みやすい。中小企業は様々な仕事をこなす場合が多く、職務拡大しやすい。大企業とは違い、若くして責任のある仕事を任される機会もある。
職務記述書では到底出来ない、範囲を超えた仕事はジョブ型では取り組まない。日本の良さが少しずつ陰って行くのは寂しい。