コラム「人と経営」
EUの憂鬱 No.2
1.EUのお荷物
このところのユーロ安で主要通貨にしているユーロの国々は、輸出に少し光明が見えてきた。ギリシャを除くEU加盟の南欧諸国(イタリア、スペイン、ポルトガル)の経済も息継ぎ出来るレベルまできた。
2015年度は、問題を抱える南欧諸国もGDP成長率がプラスに転じる予想が出ている。アジア諸国や米国と比べると比較にはならないが、スタート位置に立てた感じはする。
2.国際博覧会がミラノで開催
EUと言っても国々で大きな差異が生じている。優等生のドイツやEU離脱が騒がれているギリシャ。この両国は、多くのマスコミで取り上げられているので、ここで論じるのは避けたい。
今年、ヨーロッパで久しい国際博覧会がイタリア・ミラノで開催されている。5月連休明けのオープンから2ヶ月ほどで、チケットの半分は販売され、好調に推移している。
この博覧会のテーマは「地球に食糧を、生命にエネルギーを」と、食に関わるブースや世界148カ国が参加しており、期間中で2,000万人の来場者を予測している。
3.南北問題はイタリアに陰を落とす
そのイタリアの現状について述べたい。EUへは1958年の発足時に加盟、ユーロ統一通貨への切り替えは2002年。ユーロ圏の中心国と足並みを揃えた出だしであったが、それから国民の生活は一向に改善していない。
2002年以降、物価は2,5倍に跳ね上がり、庶民の暮らしは苦しくなった。
夏のバカンスは1~2ヶ月を避暑地で過ごし、生活を楽しむ。その為に働くという動機付けが機能しなくなった。
バカンスは短く、週末に近くの海水浴場で過ごすなどのレジャーへと変わりつつある。物価上昇、賃金減少が原因と言える。そしてイタリアの南北問題が覆い被さる。
ローマより北部の自動車製造などが立地する裕福な工業地域と、その南部の農業が中心の地域との経済格差は2倍に拡がる。ミラノ博は、食糧に焦点をあてるが、その食糧生産基地の南部は貧しい。