コラム「人と経営」
アジアの将来 No.2
1.成熟化にはまだ早い東南アジア
アジアも日本を始め成熟しつつある東アジアと、まだまだ発展を続ける東南アジアとは大きく違う。ベトナムやインドネシアは人口も多いが、平均年齢が27才~28才と、大変若い。
高齢化が急激に進行している日本、韓国、中国は欧州の国々と同じく、経済成長も人口もマイナスに振れて行くことが予想される。元気な高齢者と言っても数十年後のその国を支えることは到底出来ない。
2.真の豊かさにはほど遠い
アジア各国の労働生産性はここ数年上昇していない。韓国がこの10年で大きく成長したが、これからは後退期に入るであろう。国全体の付加価値が高まるよりも人口増加のスピードが早ければ労働生産性は減少する。
労働生産性は国の付加価値(GDPと同じ)を人口で割る、即ち国民一人当たりの付加価値を算出する。経済が成長し、人口増加と共に賃金が上昇すれば、労働生産性は増加する。
米国を除く欧米の先進諸国は、遅かれ早かれ人口減少時代に突入する。
しかし、アジアよりも早く富を築いた期間が長くストックもベースになる生産性も高くアジアの国々は追いつくことが出来ない。
3.空洞化が起こりつつある中国
中国の大手製造業が、中国国内から出て行こうとしている。このまま賃金が上がると利益が出ない。中国国内で空洞化が始まろうとしている。
今、アジアの貧しい国々も数年後にはある程度の豊かさを実現する。
賃金の安いところに製造業が移転をして行くことを国が止めることは出来ない。アジアでもインド、ミャンマー、バングラデシュなどがその転出先だ。
4,宗教戦争、民族戦争は起きない
東南アジアは仏教徒とイスラム教徒が多数存在し、キリスト教徒は僅かだ。欧米の文化が広まってはいるが、根底に流れる哲学や生活様式は欧米化していない。独自の経済発展をして行くと思われる。
日本や韓国のような単一民族の国は少なく、多様な宗教と多様な文化が入り交じり、混沌とした中に光がある。中国との紛争が東南アジア諸国には存在するが、アラブ、東ヨーロッパ諸国と比べると良好な関係だ。