コラム「人と経営」
空のビジネスに新しい風 No.2
1.日本のLCCは低空飛行
LCC(格安航空会社)で唯一、成功していると言えたPeachが、5-10月に2,000便の減便を4月に発表した。5月には、バニラエアが150便の欠航を発表。原因は機長不足であり、新規募集をしても集まらない。
世界的な航空需要増を受け、航空会社によるボーイングやエアバスへの航空機発注は増加している。しかし、航空機を操縦する機長や副操縦士の絶対数は不足し、深刻化している。
機長などのパイロット引き抜きも恒常化し、LCCなどのローコストキャリアは、報酬も含めた待遇では大手航空会社にはかなわない。また、パイロットの育成はLCCでは重荷が大き過ぎる。
2.戦略無き航空行政
日本の航空行政の問題も大きく、新規航空会社参入の規制が永らく続き、空港の発着枠も国土交通省が権限を握っている。4月、羽田空港国際線の発着枠配分ではANAに11枠、JALに5枠と公平さを欠いた。
政府が過度に行政権限を使い、世界の競争に晒されている航空会社への圧力はプラスにならない。羽田、成田両空港の問題は、アジアのハブ空港の座を韓国やシンガポールに譲ることになった原因と言える。
3.政府の関与は国際競争力を落とす
マレーシア・クアラルンプールの国際空港に5月2日、LCC向けの第2ターミナルが1年遅れで開業。しかし、アジア最大のLCC、エアアジアはその開業時には、運行しなかった。
マレーシア政府が国の予算を使い開設した第2ターミナルは、当初エアアジアが大きく関与してきたが、発着料金の問題が片付かず、やっと9日からは新ターミナルを使うことで1年間の合意が得られた。
空港、路線、発着枠などは行政の権限が発揮されるところでは有るが、民間航空会社の羽根をそぎ取ることにならないように配慮すべきだ。
ビジネスの創意と工夫が無ければ、国際競争に勝てない。
グローバルに人、モノ、カネが移動する時代に、益々世界の距離が縮まっている。航空業界はその要になる。