コラム「人と経営」
メガトレンドを見極めよ No.2
1.製造業に明日はあるのか
アベノミクスが追い風になり、輸出産業が一息をついた。日本の製造業は、ジャパンアズナンバーワンなどと呼ばれた時代、バブル前までは隆盛を極めた。しかし、日本の製造業に明日は無いかも知れない。
鉄鋼、自動車、家電に代表される垂直統合型の製造業モデルは、アップルなどの水平分散型のビジネススタイルとは大きく違う。自社で製造から販売までを賄う垂直統合型で、赤字に転落する企業が続出している。
日本政府は、そう言った製造業に様々な補助金を出し救済している。またはリーマンショック後、中小企業に対して金融円滑化法を実施し、猶予を与えた。その時は企業にとって助けになるが、構造は変わらない。
2.政府には何も期待するな
15年ほど前、東京で起業しネットの寵児となった楽天、ダイエーから分離しコンビニ業界2位のローソン。この2社の社長が安倍政権が掲げる成長戦略に提言を行う「産業競争力会議」のメンバーだ。
グーグルやアップルなどの超優良企業はシリコンバレーで産声を上げ、世界を代表する企業になった。彼らが米国経済再生の鍵となる会議に参加すると言う話は聞かない。
過去、日米経済摩擦で自動車産業や半導体産業を米国は保護した。そして、クライスラーは倒産寸前まで、GMは破産をした。政府の保護政策は、その産業や企業を決して強くしない。
3.ビジネスモデルを見直せ
今、S社の救済を政府が考えている。工場を国が買い取り、息継ぎをさせるような案だ。
旧いビジネスモデルに、決められない経営者。再生が可能か疑わしい。
中小製造業がどうビジネスモデルを転換させるのか。技術偏重型では、今までと変わらない。
モノづくりのどの部分に特化するのか。研究・開発なのか、デザインなのか、システムやメンテナンスなのか。
製造特化では後進国に勝てない。人件費の安いところに移転して行く。
繊維産業は韓国から中国、そして今やバングラデシュに。IBMがパソコンを捨てたように付加価値の源泉はモノづくりから離れて行く。
世界のトレンドを今一度見極めて欲しい。