コラム「人と経営」
新しいビジネスモデル No.3
1.コンプガチャの中止騒動
携帯電話等で利用されているソーシャルゲームの「コンプ(コンプリート)ガチャ」について、5月18日に消費者庁は会見を開いた。コンプガチャは景品表示法で禁止されている「カード合わせ」にあたり違法と見解。
5月始めの消費者庁長官の報道後、グリー、DeNA等のソーシャルゲーム大手は協議。そして、大手6社は自主規制を発表。事実上、コンプガチャは市場から閉め出された。
コンプガチャは、自動販売機でカプセル入りのおもちゃを買うガチャガチャが由来。1回数百円の課金でゲームで使うアイテムを購入。数多くトライすると希少なアイテムを獲得できる。高額利用者がいることで社会問題化していた。
2.グリーの戦略
携帯ゲームで大躍進を続けるグリー。2012年度、第3四半期累計(9ヶ月)の売上げ1,181億円、経常利益が634億円。通期では1,500億円に届くかと思われる。売上げの半分が利益だと言うこの構造には驚く。
2004年創業から僅か7年。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の将来性にかけ独自の戦略を展開。SNSで先行したミクシィを横目に、携帯のサービスに特化。携帯ゲーム市場の拡大と共に急成長を果たした。
今や会員数は3,000万人に膨らんだ。米国企業を買収し、海外市場への展開を急激に進めている。ネット対応に遅れた任天堂を尻目に、ライバルDeNAとソーシャルゲームを一気に拡大。
田中社長は、時代の寵児に。
3.新旧ビジネスモデルの対決
コンプガチャで問題視された射幸性を煽るとかギャンブル性は、日本では競馬、競輪、競艇などを除けばP業界が、事実上独占している。P業界のビジネスモデルは旧く、政官の結びつきは深い。
今やP業界も順風満帆の時代は終わり、市場は伸び悩んでいる。コンプガチャの騒動はP業界が伸び盛りの新しいビジネスモデル、ソーシャルゲーム業界に一石を投じたとも考えられる。
数十万円を払ったコンプガチャの利用者も存在するだろうが、P業界で散財するマニアは数多く、数十万円を遙か超える。射幸性は、こちらの方が高いが、社会問題に成らない理由が存在する。
あくまで推測だが、何らかの圧力が当局を動かし、今回の騒動に発展。
規制が行われても、また違ったゲーム課金が行われるだろう。ネットで遊びたい、繋がりたい人々の欲望が新しいサービスを求めている。