コラム「人と経営」
流行を追うな No.2
1.不易流行
「不易流行」という言葉がある。変わらない法則と、常に変化をして行くものがある。
そのどちらもが大事である。例えば人間の心は江戸時代からそう変化はしていないが、生活は比べものにならない位激変した。
新しい技術が開発されると、直ぐに飛びつく層がある。オピニオンと呼ばれる人々である。
iPodが発売されると、試してみたくなる。新製品に反応する。彼や彼女らが市場を引っ張る。
しかし、企業は未だにマス広告に頼っている。オピニオンはそう言った広告に反応しなくなってきた。
2.売れない市場はない
ロッテのガム、フィッツが大ヒットした。発売後2ヶ月で2,000万個は驚異的な数字だ。
ダンスが特徴の印象深いテレビCMだが、放映を通常の新製品の7割程度に抑え、インターネットのYou Tubeなどを活用しヒットに繋げた。
ロッテの開発陣は若者のガム離れに、真正面から対峙した。研究や分析を重ね、ソフトな食感、ここちよい柔らかさ、すぐに食べられるなど、今までにないガムを開発した。
開発、広告、営業の連携が成功を支えた。
年々縮小するガム市場。若者がガムを噛まない。こんな衰退市場は数多くある。
そんな苦しい市場よりも他の成長市場へと目が向く。しかし、勝機はみんなが逃げていくところにある。
3.火がつくと消えるのも早い
あるテレビで取り上げられた「○○ダイエット」。あっと言う間に翌日商品が店頭から無くなる。
メーカーには引っきりなしに注文が入り、在庫が底をつく。増産をかけて、社員は残業。
やっと間に合わせたのにブームが落ち着き在庫が残る。数ヶ月後には売り上げが急減。
I食品工業の社長が言う「ブームは最大の不幸」「ブームで得た利益は、自分の力で儲けたものではない」。
企業も個人も常に「不易流行」を意識して取り組まなければならない。
口コミがヒット商品をつくる。僅かなオピニオンが口コミをリードする。
あえて流行をつくらない。少しずつ時間をかけて認知度が拡がるように仕掛ける。
本当の流行とはそう言うものだ。