コラム「人と経営」
日本はどこへ行くのか No.2
1.輸出加工型ビジネスの将来
良いモノを安く作る、これは日本が高度経済成長を成し遂げた源泉である。原材料を輸入し、それを加工して付加価値を付ける。日本国内よりも輸出に重きを置き産業政策を実行して来た。
未だに政府の方針は「ものづくり」をベースに、輸出を振興する。そこから脱却出来ていない。その加工場が日本国内から中国他の新興工業国に奪われつつある。
さて、日本の生きる道は、より精密な「ものづくり」を高い人件費の国内でやるのか。設計などの分野に特化するのか。開発などの特許を武器に闘うのか。または、デザインや文化などのブランドで勝負するのか。
2.デザインの時代
昨年、1月開業をした話題の「国立新美術館」。今年1月までの丸1年で当初見通しの倍、310万人の入場者が訪れている。前面を覆うガラスカーテンウォール、波のようにうねる美しい曲線を描いた外観。
この印象的な建築は故黒川紀章氏が設計。建築に総額300数十億円がつぎ込まれた。これは当然、国費で建てられたもので、これを高いとかムダであるとかの議論は、日本の文化レベルが問われる。
国際都市、東京の代表建築として、海外の旅行者が頻繁に訪れる。海外に負けない品質とスピードと価格の時代から文化・デザインの時代への変化を感じて欲しい。
3.欧州・米国に負けない
北欧を訪れると、ガラス食器や家具などで世界に名を馳せるブランドが多数ある。デザインがいい。ドイツやイタリア、フランスなども著名なブランドがある。品質だけではない価値を醸し出している。
i-podは米国アップルの製品として世界を席巻した。sony-walkmanも世界で良く売れた。品質はsonyが優れている。しかし、デザインではアップルに勝てない。夢を感じさせるセンスがi-podには有る。
ハードだけでは弱い。ソフトや文化・芸術、遊びを付加しないと日本の未来は無い。経済力は世界2位。文化レベルは低い。住みやすさも良しとは言えない。優秀な人間が日本から脱出しないような国の魅力を創る最後のチャンスが今なのかも知れない。