コラム「人と経営」
2008年を契機として No.1
1.世界を巡るスピードは想像を超える
大きなトレンド(潮流)の変化は、日本のみならず世界に伝播する。米国で起きていることは、数年後に日本やその他先進諸国に広がる。反対に、日本で既成事実となっていることが、欧米に行き渡るのにそう時間がかからない。
例えば、日本食が健康ブームに乗っかり、米国、欧州、ロシア、中国などで人気がある。日本食レストランは大繁盛で、マグロが品薄になっている。すしや天ぷらを器用に箸を使って食べる白人が少なくない。
iPodが発売後5年半で1億台を突破したのが2007年4月。世界的に売り上げを伸ばす。ソニーのウォークマンが1億台を突破するのに13年かかった。
このiPod普及の速さは2000年以降であったことも関係している。
2.京都議定書の約束期間が始まる
2005年に二酸化炭素など温室効果ガスの削減を先進国に義務づけた初の国際協定「京都議定書」の約束期間が2008年より始まる。日本は、削減目標の6%減をはるかにオーバーし、反対に2006年度は6%増加している。
世界の取り組みで先行しているのがEU。2005年度から実施しているCO2の排出量取引制度。企業などの大規模施設にCO2排出量の枠を設け、その枠を超えた場合は他から買って埋め合わせるか、罰金を払うかの選択を迫る。EUは2020年には20%の削減を目標としている。
CO2排出目標を一人に割り当てた世界平均が3~4トンなのだが、日本は一人平均10トン。米国はもっとひどいが、環境後進国と呼ばれても仕方がない。環境政策は、正しく政治のリーダーシップが鍵になる。
3.日本経済は減速しているのか
日本のGDPは2005年で4兆5059億ドル、米国に次いで2位では有るが、2004年より3.5%減少している。4位の中国は数年後に日本を追い抜くだろう。
そして、日本の一人あたりGDPは約383万円と400万円を割り込んだ。
欧米のGDPがここ数年3~4%上昇している中で日本の伸びが低い。近隣のアジア諸国と比べると大きな開きがある。個別企業の努力はある程度報われるが、政策的な失敗には勝てない。
政府は2007年12月の月例経済報告で「景気は、一部に弱さがみられるものの、回復している」と発表。しかし、原油価格の高騰、米国経済の悪化、住宅着工減を盛り込んで先行きのリスクが高まっていると大臣のコメントは弱々しい。世界経済と連動している今、景気予想は難しい。