コラム「人と経営」
トップの想いと戦略が船を操る No.1
1.小泉首相の想いはどこにあったのか
道路公団の民営化、郵政の民営化と行政改革は、内容は別にして一応表向きの改革は進んだ。小泉首相のリーダーシップの結果と言える。しかし、そのプロセスは十分な議論も行わず今に至る。
「構造改革無くして、景気回復無し」のキャッチフレーズのもとで、実行されたのが二つの改革。道半ば。経済波及効果は少ない。しかし、中国特需、デジタル家電特需などが牽引車となり景気は回復基調。
確かに、銀行救済のための低金利政策や法制化を行い、不良債権処理が大きく進んだことも景気回復に寄与しているが、小泉首相が旗を振った構造改革はデフレ脱却に影響を与えていない。
2.あれは改革だったのか
結果が全てではない。プロセスが良くなければ結果が合格点でも次には繋がらない。そんな改革は頓挫してしまう。次期首相へのバトンタッチも終わっていないうちに、総括は早すぎるので控えたい。
企業では、ホリエモン、村上氏など手段を選ばず銭儲けに邁進した。短期の結果は上々、マスコミはこぞって持ち上げた。しかし、ルールをあざ笑ったようなやり方、プロセスを重視しない手法を検察は放っておかなかった。
ライブドアの社会性はいかに。堀江氏の想いは。元はITのシステム請負会社。ポータルサイトを立ち上げ、金融会社、経理ソフト会社など次々と会社を買収し、得たモノは何だったのか。
3.トップの想いには、もっと社会性がいる
トップの想いを数値化し、中長期の経営計画に落とし込む。それを実現する為に戦略が不可欠となる。売り上げ○○億。全国○○店。分かり易い。しかし、それが社員や社会、地域に何の意味をもたらすのか。組織のトップは考えて欲しい。
小さな組織でも幸せになれる。努力が報われる。真面目な人が豊かな生活を送れる。そういう会社をつくり、地域をつくり、国をつくる。それが経営者や市長、首相の役割ではないだろうか。
社員も国民も決して受け身ではいけないが、汗水垂らして働いた価値を認める社会。思いやりが通用する、心が豊かになれる社会の実現を期待する。高齢化、グローバル競争の波は相当激しい。舵取りには最高の人材が望まれる。