コラム「人と経営」
ウェルネスは生活習慣からはじまる No.1
1.医療制度改革は国民負担増の構図
郵政改革の後は年金問題というのが政治の関心事であるが、少子高齢化の流れは医療制度の改革も重要なテーマとして押し上げた。医療費の国庫負担増を背景に2002年度から健康保険制度が少しずつ改正されてきた。
高齢者の負担増と被保険者の3割負担という、治療を受ける人々に負担を求める改正となった。改正前年の2001年に政府・与党社会保障改革協議会が「医療制度改革大綱」という方針を策定した。
被用者保険、国民健康保険、高齢者医療制度の一元化をはかるというのが目玉である。
しかし、いくら制度改革をはかったところで政府は医療費の増加に歯止めをかけようとしていない。国民負担へと転嫁をはかろうとしている構図が見える。
2.健康づくりが進まない日本
医療制度改革大綱の中で、医療費増大への抑制となる「健康づくり・疾病予防の推進」が僅か数行の施策として発表された。
一応、この医療制度改革を受けて政府としては、「健康日本21」を中核とする国民の健康づくり・疾病予防をさらに積極的に推進するため、2002年8月健康増進法が公布された。
しかし、この健康増進法も国民健康・栄養調査であったり、栄養指導員による保健指導や特定給食施設による栄養管理という施策。従来の枠組みを超えるものにはなっていない。
3.生活習慣病の改善についての報告
健康日本21は、今後の生活習慣病対策の推進について、この9月に中間報告をまとめた。
死亡原因の約6割は生活習慣病(がん、心臓病、脳卒中、糖尿病など)で国民医療費の3割にものぼる。
報告書は、その生活習慣病の予防対策を中心にまとめられている。目新しい概念として「メタボリックシンドローム=代謝異常症候群」を導入。高血圧や肥満などの生活習慣病が積み重なると危険が異常に高まる。
日本内科学会は、メタボリックシンドロームの診断基準を次のように決めている。男性でウエストが85cm以上。それに、中性脂肪orコレステロール値、血圧値、血糖値の2つが基準を上回っていること。
4,運動と食事の改善が第一歩
内蔵脂肪を減少させることで、発症リスクが低減する。具体策として、「運動習慣の徹底と食生活の改善」をあげている。目標値は男性で1日に9,200歩以上、1回30分以上の運動を週2回以上。食生活では脂肪によるエネルギー摂取を25%以下、食塩を1日に10g未満、野菜を350g以上。
ウェルネスへの第一歩は毎日の習慣を変えること、そして正しい習慣を継続する。
そこから始まる。