コラム「人と経営」
忙しい時間と優しい時間 No.2
1.大人の時間、大人の会社
北海道、富良野が舞台のドラマは「北の国から」以来である。富良野の冬は厳しい。その冬を見事に演出した作品「優しい時間」は11回の放送を終えた。
白銀の世界は父と子の葛藤や成長を優しく包み込む。今、ドラマは人気の若手俳優を起用したものが多い。視聴率稼ぎなのだろうが、内容は乏しい。大人の俳優が渋い演技をする作品が減っているのは悲しい。
IT関連の上場企業がマスコミで大暴れしている。彼らの会社の年齢は10歳に満たない。
一方、数十年の歴史に幕を閉じた企業も多い。大人の会社が少なくなっていることが様々な問題を繰り広げている。
2.心に残る感動は優しさから
50万部を発行した「電車男」に胸が熱くなった。匿名投稿ができる電子掲示板への書き込みを編集したものなのだが、読むに連れて読者は物語に引き込まれる。主人公達(青年の主人公とその他大勢の応援団が登場人物)と一体となっていく。
内容は1~2ヶ月の中で主人公が成長をしていく過程を時系列で追う。
応援団も読者も、自分が経験したことや、成し遂げられなかった事を電車男(主人公)に託す。
大人の世界へ足を踏み入れた電車男と応援団、読者が不思議と感動を共にする。
電車男の優しさ、誠実さが掲示板の読者、本の読者にも伝わっていく。真剣に向き合う、そんな姿勢が周りをも変えてしまう。親子、夫婦、上司部下、友人などのどのような人間関係の真理も同じだろう。
3.忙しい時間、忙しい生活、忙しい仕事
スピード経営、効率経営、成果主義、どれもが経営戦略や経営管理では重要な経営課題となっている。意志決定を早く、ムダを排除し、結果を評価する。
しかし、そのようなビジネススタイルが見直しを迫られている。成果主義を取り入れ失敗したF社、効率を追求し取引先を絞りすぎて生産中止に追い込まれたN社など例を挙げればきりがない。
タイプAと言われる心臓病患者の特徴的な性格がある。競争心が強く、攻撃的でせっかち、休みなく他人や自分や時間と競争し続ける。忙しい生活を送り、身も体もボロボロになる。
そんなライフスタイルから早く脱皮して欲しい。社会の為にも、自分の為にも。