コラム「人と経営」
求められる転職
1.転職の実情
あなたの周りに転職したい人はおられませんか?某中小企業D社の営業人材H氏、20年勤めた同社を退職。D社の得意先でオーナー企業の中小製造業F社の総務部長K氏に口説かれ転職。
結論から言うとH氏は転職後10年、同族経営一族のもめ事に巻き込まれF社を退職。総務部長K氏も同族経営一族で彼もF社を去った。これは特異なケースかも知れないがオーナー経営ではよくある。
大手製造業のX社。業界3位だが海外事業の失敗で経営は低迷。早期退職優遇制度を活用し30年勤めた同社を辞めたN氏。まだ働ける年齢なのに勤労意欲が沸かないのか、仕事をしない日々が続いている。
2.上場企業のリストラが続く
日産自動車(2025年11月上期の決算で277億円の営業損失を計上)は5月、2027年度までに全世界で2万人削減を発表した。同時期、パナソニックは2026年度末までにグループ全体で約1万人の人員削減を行う。
そして、ユニークなのは3期連続での最高益を見込む三菱電機が12月、希望退職を募集した。募集対象は、53歳以上の正社員や定年後の再雇用者で約1万人が対象。リーマンショック時でさえ募集しなかった同社なのに。
黒字リストラという言葉が上場企業に拡がっている。パナソニックも黒字だが、収益構造の改善、これから起きる定年ラッシュへの対策と言える。上場企業数十社が黒字リストラを敢行しようとしている。
3.転職市場
一方、転職の受け皿となる企業は増加。人手不足が深刻な中、経験豊富で即戦力の中高年人材を求めている企業は多い。転職サービス会社Y社によると、中高年の転職者は5-6年前から約2.5倍に増えている。
Y社の調査では、現在の処遇で給与についての不満が多い。給与が上がらないや少ないなど。そして、うまく年収アップを勝ち取った転職者も増えている。
採用する中小企業は、大手企業の給与の半分位しか出せないのが実情。大手製造業K社でゼネラリストとして活躍した60才前のG氏。退職後、数十社に応募したが採用に至らなかった。
反対に同年代の技術者だったS氏は伸びている中小企業に採用された。




