コラム「人と経営」
AI(人工知能)に惑わされるな
1.AI(人工知能)とな何か
専門家や研究者の間でもAI(人工知能)に関する確立した学術的な定義はない。AIに関わる分析技術として機械学習がある。よく出てくる表現のディープラーニング(深層学習)は機械学習の一つの技術だ。
機械学習は、データから規則性や判断基準を学習し、それに基づき未知のものを予測、判断する。ニューラルネットワークという分析手法を拡張し高精度の分析や活用を可能にしたのがディープラーニング。
自社の社員にAIの知識を身につけさせて、そのプラグラム開発で様々な事業の分析を行う。ヤフーは2023年度末までに全社員約8千人をAIを活用できるように再教育を、ソニーは国内社員約4万人に独自のAI教育を行う。
2.海外にみるデジタル化の事情
2013年、オックスフォード大学(英国)のマイケル・A・オズボーン教授がある論文を発表。これから10-20年の間にホワイトカラーの仕事の約半数がAIによって失われる。さまざまな業務がなくなる。
世界のデジタル先進国で注目を集めているエストニア(バルト三国の一つ)は、国民に電子証明書を義務付けし、ほとんどの行政サービスはネットで完結。2000年に導入されたe-Tax制度はオンラインで納税や申告が出来る。
この事により税理士も必要がない。米国やカナダでは過去の判例を電子化、裁判での判断業務にAIがアドバイス。弁護士も厳しい時代に突入するが、人間にしかできない付加価値業務に注力することでAIとの分業が進む。
3.第3次AIブームは終わった
2012年に始まった第3次AIブーム。カナダのトロント大学がディープラーニングを用いて画像認識の分野で大きなブレークスルーを示したのがきっかけになった。
2015年、グーグルが開発したアルファ碁は、人間のプロ囲碁棋士を破った。これは、機械学習のディープラーニングの技術を使い、IBMが1997年にチェスで世界チャンピオンに勝利してから約20年を要している。
某大学AI研究の第一人者M教授は、様々な分野で注目され、とあるAI教育の団体の理事長に担がれ、AIの知識を身につける検定講座を開発。AI学習と言う講座や研修が蔓延しているが、その賞味期限は短い。
弁護士や税理士、銀行業務から小売業まで、あらゆる分野でAIを投入。処理業務から判断業務までの仕事が無くなっていく。そのスピードは早い。高度な判断業務や感情のもった人間にしか出来ない仕事は残る。