コラム「人と経営」
米国と日本、労働者の変化
1.回復しつつある米国
米国の失業率は、リーマンショック後10%を超えたが2020年3月は4.4%と低水準に。そしてコロナがまん延しだした2020年4月には14.7%に急上昇。そして経済回復しつつある今年の8月には5.2%まで改善された。
多くの働き手が米国では辞めている。コロナの影響で直接仕事が無くなった人から職務の変化(テレワークや時短、Zoomによる問題他)により精神的な不調などの「負の退職」よりも転職組が増えている。
2021年8月の米国の完全失業者は838万人。その中に、自ら仕事を辞めた「自発的離職者」が約半数。即ち、次の職場を見つけ転職をしている。企業の求人数は上昇を続け2021年4月には900万件になった。
2.労働者の意識の変化
米国では仕事を辞める人でも、別の働き口が見つかるとの確信が強い。会社を辞めることを検討している人は自分のスキルや能力に合った仕事の内容、今よりも高い給料、福利厚生の充実した会社を求める。
日本でも転職希望者は多いが、実際に転職する人は少ない。労働市場の流動化は依然改善されていない。正社員と非正規社員の格差も改善されていない中で、非正規から正社員への転職も少なくなっている。
AIが普及して仕事が激減すると言われている。しかし、インテグレーションやプロデュースという仕事は残る。調整や統合、制作や企画などは人間にしか出来ない。
3.ロボットが労働者の仕事を奪う
労働者の確保に苦労する企業は、ロボットの導入に熱心だ。産業用ロボットは日本の企業が秀でているが、米国の方が工場や倉庫への普及が進んでいる。ロボットが安価になったとしても人間の労働力には及ばない。
ロボットではないが、レストランではタブレットを使って予約やメニューの提供を自動化している。日本でも回転寿司チェーンがいち早く導入した。それにより接客の質は上昇している。
専門家は、ロボットの活用や自動化により効率化がはかれることで、作業面での仕事は減るが、より付加価値の高い仕事が出来る労働者は高い給料をもらうことができる。