コラム「人と経営」
相次ぐ倒産、人手不足
1.倒産が増えている
都市圏での倒産が増えている。東京商工リサーチが発表した7月の東京都の企業倒産(149件)は前年同月と比べ52%増加。帝国データバンクが発表した近畿2府4県の倒産件数(170件)は前年同月比21%増えている。
上半期(1-6月)で見ると全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は前年同期比32.0%増(4,042件)とコロナ初年度(2020年)以来、3年ぶりに4,000件台を超えた。
特に飲食店は、近畿2府4県で1-7月の倒産は前年と比較して5割増と厳しい。倒産では無いが休業・廃業もコロナ前より多い。全国倒産件数も7月、758件(東京商工リサーチ調べ)と前年同月比53.4%増に。
2.人手不足倒産
人手不足に起因する企業倒産は、今年1-7月で前年同期比159.3%増(83件)と大幅に増加している(東京商工リサーチ)。帝国データバンク調べでは上半期(1-6月)に累計110件と多い。
求人難に人件費高騰や従業員退職なども要因に上がっている。労働集約型の運輸業、サービス業、建設業などは人手不足の影響が大きい。
景気の回復やコロナの終息により集客が回復しても人手不足によるサービスの低下による客離れが起きている。大手は賃上げや機械化などにより人手不足に対応しているが、中小は倒産や廃業に陥る。
3.求人数が減少、賃金は上昇
2023年6月の有効求人倍率は1.30倍、前月を0.01ポイント下回り2か月連続で減少した(正社員有効求人倍率は1.03倍)。物価高で給料の高い仕事を探す人が増えたが、製造業中心に求人数が減少した。
2022年7月の有効求人倍率は1.29倍、2021年7月は1.14倍と少しは上昇。東京、神奈川、大阪の最低賃金は1,000円(2022年)を上回り、アルバイトの平均時給は1,200円を超えている。
有名なリゾート地、某ホテルの経営者はサービス業の時給を2,000円で求人するが厳しいと。日本には現在180万人を超える外国人労働者が働いているが、都市圏に集中している。
中小企業は、この物価高、人手不足、資金繰り他今暫く厳しい夏が続く。