コラム「人と経営」
リスキリングは進化しているのか
1.リスキリングの現在
「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する」。経済産業省のリスキリングの定義。
今から2年前、2022年10月の第210臨時国会。岸田首相は個人のリスキリングの支援に5年で1兆円を投じると明言。8ヶ月後やっと2023年6月から経済産業省が「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」を開始。
2022年度補正予算では753億円と寂しい。学ぶだけではなく転職支援を受けることが条件になっているので、申込みは少ない。今年も引き続き実施しているが低迷している。
2.中高年、高齢者のリスキリング
日本を追い抜く高齢化が進んでいる韓国。年金制度は貧相で安心して老後の人生を全う出来ない。中高年者が会社を辞め自営業者へと転身、しかし、そんなに甘くは無い。自営業者が年間100万人近く廃業する。
日本の高齢者、政府は年金受給年齢をどんどん引き上げ併せて支給額も下げている。定年年齢も上がるが、働かないと食べていけない。現在の雇用に頼らずリスキリングして個人事業主やフリーランスとして働く。
韓国と同じ状況に陥る。自分にどんな能力が有るのか、他の業界で通用するスキルや知識が有るのか、日々進化する技術や環境変化にリスキリングを行うことで変化に上手に対応できるのか。
3.ポータブルスキルを持っているか
どこの会社に行っても仕事が出来る人がいる。自社だけではなく社外、外部労働市場においても必要とされる能力を「エンプロイアビリティ」と言う。一般的には「雇用される能力」と呼ばれている。
その、エンプロイアビリティの中心が「ポータブルスキル」。どこにでも持ち運べる能力。即ち、「持ち運び可能な能力」。業種や職種を問わず、どんな業界でも通用するスキルのこと。
ポータブルスキルには、大きく分けて「仕事のし方」と「人との関わり方」が有る。仕事のし方にはは課題を把握する能力、計画を立てる能力、実行力。人との関わり方には、コミュニケーション能力、マネジメント能力が必要だ。