
コラム「人と経営」
進化する生成AI
1.生成AIの進化が止まらない
生成AIが進化している。この8月7日にOpenAIがGPT-5を公開した。GPT-3やGPT4の従来のモデル等よりも質問に速く答えることができる。速い応答モデルと深く考察する推論モデルが両立する。
GPT-5はOpenAIのCEOが「博士レベルの専門家が常にポケットにいるような体験」と表現している。数学、コーディング、医療回答などで高い性能を発揮する。誤情報(ハルシネーション)も起こしにくい。
生成AI用のデータセンターの建築が進む。日本企業もその恩恵を受けている。データセンターの需要の多くは米国。トランプ関税の影響で、人件費も高い米国だが投資に見合っているようだ。
2.AGI(汎用人工知能)とは
AGI(汎用人工知能:Artificial General Intelligence)は人間と同等レベル、またはそれ以上に幅広い知的作業をこなせるAIのこと。つまり専門領域を超えて未知のタスクも自ら学習して対応できる。
AGIは、数学の証明から文学創作、科学研究、交渉、日常的な意思決定まで、分野を問わず柔軟に対応できる。自己学習と適応新しい分野や状況を、人間のように経験から学び適応する。
現状との違いはGPT-5を含むChatGPTなどの現行AIは、非常に高度だが、特定条件での知識・推論に限られる。AGIには到達していない。AGIは人間と同じように、未知の問題を初めて見ても柔軟に解決できる。
3.生かせていない中小企業
大企業は生成AIを活用する企業は多いが、中小企業は少ない。某調査によると、中小企業が生成AIを業務で利用または試験中と回答した企業は約25%。今後利用したいと検討を進めているところが多数。
業務での本格活用に至っていないのは、どこから手をつけてよいか分からないや使いこなせる自信がない。または、導入しているが、うまく使っていない。無用の長物になっている。
人材難の中小企業にこそ生成AIを使うメリットが大きい。優秀な人材を手に入れるのと同等だ。大企業が躊躇している間に、中小企業は、とにかく変化して圧倒的なスピードで行動すれば対抗できる。